自宅に残していた遺書とみられる十数通の書き置きのうち、JR北海道の労働組合関係者に宛てた1通の内容が、9月17日に判明しました。
書き置きは失踪の理由には触れていませんでしたが、JR北海道が社員に違法な残業をさせていたとして、同年7月に札幌中央労働基準監督署から是正勧告を受けたことに触れ、「申し訳ありませんでした」などと謝罪が記されていました。
JR北海道労組関係者に宛てた書き置きは、A4判の紙1枚にパソコンでタイプ打ちされ、表に宛名、裏に「中島」と署名された封筒に入っていました。
JR北海道は7月21日、札幌中央労働基準監督署から労使協定(36協定)を結ばないまま過去3年間で延べ約800人の社員に違法な残業や休日出勤をさせていたとして、是正勧告を受けていました。
JR北海道労働組合によると、中島尚俊社長は勧告後の労使交渉で「社員の労働時間を厳正に管理したい」などと陳謝したということです。
このため、書き置きには「36協定については申し訳ありませんでした」と7月の是正勧告について改めて謝罪が記され、「会社の発展の為に今後もご尽力下さい」と書かれていました。
石勝線事故や国土交通省へ報告する改善措置に関する記述はなかったということです。
失踪翌日の9月13日に中島社長と会う予定だったというJR北海道労働組合の榎本一夫委員長は、「個別課題で意見が食い違うことはあったが、『乗客の命と安全を全てに優先する』という方針では一致していて、互いに腹を割って話せる仲だった。また元気に戻り、指導力を発揮してほしい」と語っていました。
また、国交省に提出する改善措置の報告書について会社と組合で会議を重ね、今月上旬に大筋合意していたことから、榎本委員長は「労使関係が原因で失踪したわけではないのでは」と話していました。
刹那過ぎますね。。。
残されたご家族の苦しみを考えると本当に胸が痛くなります。
現場の作業員などともざっくばらんに話すなど、明るく温厚で、社内外で慕われていたといいます。
しかし、不謹慎なことかもしれませんが、自殺しても全くクローズアップされない労働弱者が、もっと大勢いる、苦しんでいる家族も大勢いる・・・とも感じてしまうのです。。。
全部で10通、役員に4通もの書置きを残しているそうです。
逃げる人は、決して10通もの遺書は残しません。
命を掛けて貫きたかった「何か」があるのでしょう。
20年以上にも渡る長期紛争を抱えることになった国鉄時代から、企業体質が全く変わっていないのであれば、札幌中央労働基準監督署に告発した社員に対して報復人事などが行われる可能性があったことが考えられます。
しかし、結果的に、中島尚俊社長の死が、さらには「社長自らが正式に詫びる」という形をとられたことで、その可能性を完全排除されたと言えます。
中島尚俊社長は、古い体質を変えなければいけないと、生前、小池会長に真剣に訴えていたということですが、その訴えを小池会長や、遺書を託された4人の役員はどう受け止めたのでしょうか。